今はIELTSも知名度が上がっているので多くの大学生や高校生は知っているかもしれませんが、まだまだよく知らないという人のためにIELTSってどんな試験?ということで改めて調べてみました。
大学に入学すると、もれなく留学がついてくる、みたいな状態になりつつある日本の大学ですが、それでも一応試験の結果は大学に提出しなければならないので、学生さんは選択肢としてIELTSまたはTOEFLのどちらかを選択することになります。
それ以外でも個人で留学する場合には、IELTSまたはTOEFLは入学の条件として必要な試験となります。
留学する人は必須ですが、海外に留学する人だけが受けられる試験ではなく、誰でも受験することができます。
IELTSを受験するのに必要な受験料は25,380円(税込)。
またパスポートが必要になりますので、持っていない方は申し込み前にパスポートを取得しておく必要があり、試験当日はパスポートが必要です。
1回の受験に最低でもこの金額が必要になるので、適当な勉強で受けるのはもったいないですね。
IELTSってどんな試験?
IELTSというのは International English Language Test Systemの略で、世界140カ国の10,000機関が認定していて、年間300万人以上が受験、世界をリードする英語技能テストのことです。
世界の多くの教育機関や政府機関で英語力を証明するテストとして認定されており、留学や就労に有効なテストとして活用されています。(日本英語検定協会より)
少し前までは、主にイギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドに留学する人が受験して、アメリカ留学はTOEFLが主流でしたが、今は多くのアメリカの大学でもIELTSの受験結果による入学を認めています。
イギリスも以前はTOEFL受験結果でも大丈夫な大学もありましたが、何年か前に受験生の大きな不正があり、今はイギリスではTOEFLの受験結果は認めていません。IELTSオンリーとなっています。
IELTSの試験とひと口に言っても、実は2種類あります。
① Academic Module / アカデミック モジュール(留学するために必要)
② General Training Module / ジェネラル トレーニング モジュール(就労のために必要)
どちらを受験するかは、自分がどういう目的で海外に行くのかによって変わってきますが、もし大学に留学するならば ① アカデミック モジュールになりますね。
ここでは主にアカデミック モジュールについて説明していきます。
IETLSの試験の中身を詳しく見てみましょう。
IELTSの試験は次の4技能を受けることになります。
① Reading(リーディング)
② Listening(リスニング)
③ Speaking(スピーキング)
④ Writing(ライティング)
大学入試の共通テストに取り入れるという問題で、4技能という言葉が結構言われていますので、今ではこの4技能は定着しつつありますね。
IELTSでこの4つの試験を受けるのにかかる時間は約2時間45分となっていますので、だいたい3時間くらいかかるとみておいたらいいと思います。
リーディングとライティングに関してはアカデミック モジュールとジェネラル トレーニング モジュールとでは内容が違うので、試験勉強をするときに問題を間違えないようにしましょう。
ジェネラル トレーニング モジュールの方が簡単なので、こっちを勉強してアカデミック モジュールを受けると大変です。
試験日に関して、ライティング、リーディング、リスニングのテストは同じ日に続けて行われます。
スピーキングはIELTSの世界的な規定により、筆記試験の前後6日以内に行われます、と英検協会のサイトには書いてありますが、通常は筆記試験と同日に行われることがほとんどです。
カレンダーに2daysと書いてある日を選択した場合はスピーキングは次の日に行われることになります。
スピーキングの時間は指定できないので、筆記試験が終わってからスピーキングの試験がある夕方まで時間が空いている、ということも起こりかねません。
空いた時間の過ごし方も考えておいた方がいいかもしれません。
妙な間が空くと不安になるので、筆記テストを受けた勢いで、続けてスピーキングの試験も終わってしまいたいところですね。
今年度のスケジュールは日本英語協会の公式のIELTSのページ(こちら)からご覧ください。
リーディングの試験の中身はこんな感じになります。
リーディングの試験は1時間です。
1時間で解く問題の中身は大きく3パッセージ (passages)になります。
問題数は全40問で、3パッセージの中に振り分けられています。
1時間で3パッセージということは、単純に割ると1パッセージ20分で解くという計算になりますね。
自分で勉強するときは、最初は1パッセージを20分で解く、というのを目指して練習するのもいいかもしれません。
試験の形式に慣れるのも大事です。
それができるようになると、2パッセージを40分で、最後に3パッセージを1時間で解く、といった練習を繰り返してみるのもありかと思います。
ただ、最終的には時間を計りながら、3パッセージを解く練習を重ねてください。
分けて解くと結構正解するのに、一気に解くと間違える、という学生さんも何人か見てきました。
リスニングの試験はこんな感じで進んでいきます。
リスニングの試験はだいたい30分です。
実際に問題を解くのは約20分で、試験の最中は問題用紙などに答えと思える単語などを殴り書き(英語でも日本語でも自分がわかるように)、メモ書きしておいてください。
TOEICと違い、メモはとって構いませんので、ヒントになりそうなものや、答えがわかるものはメモをとりましょう。
残りの10分でそれをきれいに解答用紙に書き写します。(写しかえる時間が与えられます。)
問題は先へ進むほど難しくなる傾向にありますので、最初の方はできるだけ正解を目指しましょう。
最後の10分の書き写しの時に気をつけないといけないのは、問題に「NO MORE THAN TWO WORDS」と書いてあると、自分のメモには聞こえたまま3語でメモしていても、例えば形容詞などを省いたりして2語にしないといけません。(どう省略するかはその時の問題によります。)
答えが合っていても2語と指定されているのに3語で書いてしまうとバツになってしまいます。
他にも日本語でメモ書きをしていて、英語で書き写すときに、ここには s がいるな、とか気にしながら書き写すとうっかりミスも減ると思います。
単なる清書の時間と思わずに少し注意して書き写すといいと思います。
IELTSのリスニングは書き込み式なので、単語のスペルを覚えるのは必須です。
イギリス様式、アメリカ様式のどちらで書いても、スペルを間違っていなければ大丈夫です。(labour(英)、labor(米)など)
ライティングの試験の詳細はこんな感じです。
ライティングの試験は Task1 と Task2の2つの問題を1時間で書くことになります。
Task1 の所要時間は20分。必要文字数はだいたい150 wordsです。
Task1はグラフやチャート、表など見てそれについて記述する問題なので、自分自身の意見を書く必要はありません(逆に書いてはいけない。なので「I(私)」という単語は使いません。)
まずはきちんと表なりグラフなりがちゃんと読める必要があります。
これがちゃんと読めれば、Task1は書き方にある程度のパターンがあるので、練習すればそこそこ点は取れると思います。
Task2 の所要時間は40分。必要文字数はだいたい250 wordsです。
Task2 はTask1のようには簡単にはいかず、毎日の練習が大事になってきますね。
Task1と違って、Task2は自分の意見、事実を書き分けながら(意見と事実を間違えてはダメです。)、論理的に書くことが必要になってきますので、日頃から日本語でも自分の意見を論理的に言う練習などをしておく必要があります。
日本語でも書けない、言えないものは当然英語ではできないので、ただ単に単語、熟語の量だけあっても太刀打ちできません。
練習の積み重ねが大事です。
日本にいるうちに、論理的に文章が書けるようにしていくと、留学してからの大学での勉強がずいぶん楽になります。
ちゃんと書かれたものを書き写したり(外国のライティングの本がおすすめ)、添削してもらうなどして、エッセイの書き方のきちんと勉強をする必要がありますね。
注意点として、日本人でも国語が得意な人、苦手な人、書くことが得意な人、苦手な人がいるように、俗にネイティブと言われる人たちにとっては英語は国語なので、国語が得意な人がいれば、苦手な人もいます。
ネイティブだから誰でも英語(国語)は完璧、なんて思って添削してもらっているとお金と時間の無駄になりますので、本当にエッセイの書ける人なのかどうか見極めてお願いした方がいいですよ。
最後はスピーキングの中身についてです。
スピーキングの試験は、自分と試験官の1対1で行われます。
所要時間はだいたい11分〜14分くらい。
試験中の受け答えはレコーディングされています。
その場にいる試験官が手持ちの採点表に採点したものと、レコーディングされたものを本部に持ち帰り、他の試験官と共に採点します。
その場の試験官1人の判断で採点はしないようです。
レコーディングされると言うことは、声は大きく出さないと当然録音される声も小さくなるので、いくらちゃんとしたことを答えていても試験官たちにはっきり聞こえなければ減点の対象になる可能性があります。
声は大きくハキハキと話しましょう。
スピーキングの試験は Part1、Part2、Part3の3つに分かれていて、後半に行くほど難しくなります。
Part1は自己紹介から始まって自分について、Part2は渡された問題用紙を見て、それについて2分程度話す、Part3はPart2で答えた回答に関連した質問に答える、という流れになります。
試験官は最初のPart1で受験生の英語力を測っていますので、ここでこけないように頑張りましょう。
ここで英語力は低いと判断されると、後に続く問題は簡単な問題になります。
そうすると高い点数は望めません。
スピーキング簡単だった〜と感じた場合は要注意です。
Part3で抽象度の高い問題がたくさん出たと感じた人は、ある程度抽象的なことに英語で答えられる人だと認められたと思ってください。
その場合、点数は高めに出ます。
また、しゃべらないより、しゃべったほうがいいのですが、ただペラペラ喋るだけては高い点数は出ません。
ライティング同様、論理性が求められます。
チェックされるところは
① 英語の流暢さと話の一貫性(IELTSは外国人が受ける試験なので、決してアメリカ人、イギリス人のような流暢さは求められていません。流暢さと言うのは単語をブツ、ブツと切って言うのではなく、スムーズに止まらずに言えることです。話の一貫性はとても大事です。)
② 語彙力(同じ意味のいろんな単語を使っているか、身近のものなどの名前もたくさん知っているかなど)
③ 文法の正確さ
④ 発音(これもネイティブのようは発音は求められていません。アクセントを間違えないようにするとか、単語の読み方を間違えて覚えていないかとか、RとLの区別はできているかとか、英語の基本の発音のことです。)
よくイギリス英語が好きだからといって、イギリス人の真似をして can’t をカントと言う人がいますが、これも気をつけないと変な意味の単語に聞こえるようです。(とイギリス人の知り合いが言っていました。)
採点方法
採点は、英検などのように合格、不合格ではなく、1.0〜9.0のバンドスコアで採点されます。
細かい刻みはなく、5.5、6.0、6.5というように0.5刻みの点数です。
4技能の各パートごとに点数が出て、それの平均値でオーバーオールのバンドスコアが出ます。
海外の大学への入学基準としては6.0〜6.5あたりからというのが多いようなので、留学をする人は、まずはこれを目標に学習するといいのではないでしょうか。
ただ、これはあくまで入学する際に必要な試験の最低ラインなので、試験以外のところでも常に英語や教養をつけておく必要がありますね。
試験の結果
試験の結果は、筆記試験を受けてから13日後の13時から、オンラインの自分のマイページで見ることができるようです。
その後、郵便でIELTS公式の成績証明書が送られてきます。
試験の結果は、筆記試験を受験した日から2年間有効となっているので、留学するにあたってIELTSの結果を提出する人は、昔受けたものは使えないので気をつけないといけないですね。
また、試験の結果に疑問がある場合は、再採点(Enquiry on Results [EOR])を申請することができます。
再採点してもらいたい技能(4つのうちから選択)を選び、事前に手数料9,000円を振り込んで依頼します。(手数料は技能数に関係なく一律)
再採点の結果、スコアが変更となった場合は手数料が返金されるようですね。(ただし返金指定の銀行が日本国内の場合のみ)
結果はだいたい3週間程度で出るようです。
まとめ
以上が IELTS の試験を受けるにあたって知っておくべき点、準備する点でした。
留学する場合は、
アカデミックモジュールを選択。
受験料は25,380円(税込)
試験は4技能。
試験結果は2年間有効。
採点に疑問があれば再採点も申し込める。
今回の説明は、会場に行って受験する紙ベースの試験についてなのですが、最近はオンラインで受験するIELTSもあります。
コンピュータ受験はこちらをご覧ください。
参考にしてもらえたらと思います。
コメント